ケータイ短歌の現場より(9) ブログ歌人・ネット歌人・ケータイ歌人
前回の「歌ってる?」のとき(id:betsuuta:20070324)、ヘロヘロでしたね(笑)。読み返したら散々でした。と、いうわけで、今回は前回の捕捉。もう少し掘り下げて考察していこうと思います。
元々、「歌クテル」は「ケータイで短歌を楽しむ」をコンセプトに発足した同人誌プロジェクトだったのですが、参加歌人の作風は一様ではありません*1。一様に作風を括れない理由は何か。それは、「ブログ歌人」「ネット歌人」「ケータイ歌人」というのが、「結社歌人」や「新聞歌人」「カルチャーセンター歌人」などと違い、「思想や短歌観を共有しているグループ」ではない、という点にあるんです。逆に、ネットから短歌に入った若い層は、結社を拒絶しているわけでは決してなく、短歌のことを深く知りたくなれば結社に入り、結社活動とネット活動を両立していく傾向が強いようです。思想的に矛盾しないかぎり、結社制度とネットは共有できるはずなのに、そこには依然として壁があるように感じられます。それは、インターネットの世界が、まだ未整理な状態だからなのでしょう。
「ブログ」「ネット」「ケータイ」というのは*2、ただのツールとフィールドの名称です*3。私たちがやりたいのは、そのツールを使って、どんな活動をするか、ということなんですよ〜。
今は、まだ、ネット短歌の世界は雑草はびこるだだっ広い空き地で、そこに子供たち(笑)が秘密基地を作って遊んでいるだけの状態です。パソコンやケータイは「どこでもドア」みたいなもので、みんなは好きなときに好きな場所へ行くことができます。そして、こんな楽しい基地を、仲間たちで独占しているのはもったいないと思っています。
全体を見渡せる大きな組織がきちんと整備すれば、ネット短歌界は大きな街になると思います。
Google等で「短歌」を検索すると、短歌系雑誌の出版社、「電脳短歌イエローページ」のようなリンク集、結社のホームページ、それから前回紹介した「題詠100首ブログ」や、歌人枡野浩一さんや笹公人さんなどが主宰してらっしゃる短歌のトラックバックセンターが上位にでてきます*4。
ひとつひとつは素敵なサイトさんだと思いますが、それでも短歌界はネットを使いこなせていないなぁ、という印象は拭えません。全体を見渡せるサイトがないんですね。
「歌クテル」がどこまでできるかはわかりませんが、まずケータイのフィールドから、少しずつ埋めていきたいと思っています。同人誌、ウェブマガジン、ネット歌会、データベース、リンク集、トラックバックセンター。簡単な辞書や検索機能がつけられるといいな〜、と。どこまでできるかな。アイデアだけはたくさんでてきます。
ボールペンはミツビシがよくミツビシのボールペン買ひに文具店に行く(奥村晃作)