ケータイ短歌の現場より(1) 土曜の夜はケータイ短歌

ケータイで短歌を詠む若者たちがいます。
私たちのやっている同人誌「歌クテル」も、出発はケータイでした。57577の文字数や、「つながってる」感じ。メール入力との親和性。空間を切り取る写メールのような「短歌」。ケータイと短歌は相性がいいんだと思います。
NHKラジオ、土曜の夜はケータイ短歌は、そんな10代20代の等身大の表現を、そのまま閉じ込めた番組です。ケータイからのリクエストやDJへのメッセージ送信があたりまえになった歴史を考えると、ケータイを媒介とした短歌とラジオとの「つながり」は、必然的なものだったんでしょうね。
昔は、リクエストって、葉書で出してたじゃない?
葉書だと、リスナーから番組に届くまで、タイムラグがあった。メールだと、メッセージがすぐに伝わる。それが良かったとか悪かったとか、そういうことは今は問いません。
でも、少なくともケータイメールの登場によって、番組の作り方が変わらざるをえなくなったのは間違いないと思うんです。

マニキュアが乾くの待ってるふりをして君のメールを待ってる夜中(キタパラアサメ)



ケータイの登場によって、
「短歌」も、変わったのでしょうか。
当事者である私たちには、客観的な評価はできません。「イマドキの若者の短歌は、ニセモノだ」という意見は少なからずあるし、伝統的な「短歌」の世界と比べてみて「う〜ん、そうかも」と思わざるをえないことも多々(笑)。
だけど、いかに「短歌もどき」といわれようとも、そこで歌われていることは、リアルな「叫び」なんですね。技巧や、難しいお約束に縛られない、ただの「57577に切り取られた言葉」だからこそ言えることってあると思うよ。

挫いてもいない右足ひきずって斜めに歩く夜の校庭(キタパラアサメ)



この番組で活躍している、(アサミさんこと)キタパラアサメさんの短歌を2首、紹介しました。


ムカシのことは知らないけど、今聴いてるラジオは面白いし、
ムカシのことは知らないけど、短歌って面白い。


とりあえず、それでいいと思っています。もっと深く知りたくなったら、さかのぼって勉強していけばいいんだし、リンクをたどって新しい知識を手に入れるように、ケータイを活用して短歌の世界が広がっていく可能性だってあるんですから。