あとむはーとまざー

しばらく前に、角川『短歌』2006年5月号を読んでいたら

われの背後の海見るごとく今もなほ<原子心母>の牛こちら向く/大塚寅彦

という歌がありまして、自分としては「うんうん、よくわかる。この歌好きだなぁ」なんて思ったわけですが、
「<原子心母>の牛、で伝わる人ってそんなにいるのかいな?」とも思ったわけです。
ちなみに↓が「原子心母の牛」です。

原子心母

原子心母

↑の説明を読んでいただくとわかるのですが、ピンクフロイドというバンドの『原子心母(原題:"ATOM HEART MOTHER")』というアルバム(※オリジナルは1970年発表)のジャケット写真でして、たしかに「われの背後の海見るごとく〜こちら向く」って感じになにか訴えたげな牛さんなんですが、
原題の「アトムハートマザー」って短歌関係でなんかなかったっけ?と思ってちょっと調べたところ、
辰巳泰子さんの『アトム・ハート・マザー』という歌集が1995年に出版されているんですね(この本のことをはまぞうくんは知らないようです…)。
「へえ、ミスチルとかジョジョとかに限らず、短歌にもフロイドの影響(?)はあるんだね」なんて思ったりしたのですが、もうちょい調べてみたら、大塚さんは『声』という歌集をやはり1995年に出版されていたりするんですね。
声―大塚寅彦歌集

声―大塚寅彦歌集

ってな情報を得てみると

われの背後の海見るごとく今もなお<原子心母>の牛こちら向く/大塚寅彦

という歌で、こちらを向いているのはアルバムジャケットの牛さんだけではないのかもしれないな…36年なり11年なりの時を経て「今もなほ」…、なんて思ったりしました。
…そんなわけで、『アトム・ハート・マザー』や『声』を読みたいなぁ、なんて思いつつ、どうしてオレはフロイド好きなのに『原子心母』を聴いてないんだろ…、なんて思う今日この頃だったりします。