ケータイ短歌の現場より(7) 歌集喫茶うたたね

2007年2月19日(月)〜24日(土)、ケータイ短歌のラジオ出演等で若い世代に人気の女性歌人、天野慶さんが、「歌集喫茶うたたね」第2回を主催されます。
id:utakuteru:20070224でも書きましたが、わたしたちも「歌集喫茶うたたねduet with歌クテル」として協力していくことになりました。ユニット名は主宰の天野慶さんと話して決めました。「うたたね」と「うたくてる」。「うた」が響き合うduet、という意味があります。
短歌をあまり知らない人にも、楽しんでもらえるイベントになるといいなぁ、と思います。天野さんもおっしゃっていましたが、歌集って、一般の書店の店頭にはあまりおいてないものなのよ。
短歌は、面白いですよ〜。短歌のほんを手に取る、ひとつのきっかけになればいいな、と思います。



さて、「うたたね」と聞いて思い出すのがこちらの短歌三部作。

思ひつつ寝ればや人の見えつらん夢と知りせば覚めざらましを
うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものは頼みそめてき
いとせめて恋しきときはぬばたまの夜の衣をかへしてぞ着る

小野小町のうたです。この3首にはストーリーがあります。
「あなたのことを思いながら寝たからあなたが夢にでてきたのかしら。夢の中で夢と気付いていたならば目覚めなかったのに」「うたたねにあなたの夢を見た日から夢を信じるようになったの」「恋しくて狂おしいほどあなたのことを思う夜は寝間着を裏返して着るわ」
平安時代の夜は、街灯などもなく、まさに漆黒の闇。その「夜」に見る「夢」は、現代よりもずっと強く信じられていたことでしょう。
「夜の衣をかへしてぞ着る」というのは、「寝間着を裏返して着ると、好きな人の夢がみられる」という平安時代の恋占い。小町は、はじめは「夢」の魔力も占いも信じていなかった→ある日、うたたねをしたとき好きな人の夢を見て「夢」の魔力を信じるようになった、というわけ。
お勉強的にいうと、「ぬばたま」は「夜」の枕詞〜、とか、文法的な説明になってしまうと思うんですね。そうじゃなくて、「平安時代のアイドル、小野小町はこんな恋をしてたんだな〜」などと、妄想を膨らませるのも楽しい短歌のよみかたですよね。


歌集喫茶うたたねで、いろんな短歌にふれてみてください。きっと、あなたにぴったりのうたが見つかると思いますよ(^-^)。