梳田碧
「僕は好きだな、この音。なんだか生命的な感じがするよ」「うん。なんだか生命的な感じがしてきた。この音」「少し窓を開けた方が良いと思うけど」「うん。窓は開けよう、カーテンはどうしたら良いだろう」「カーテンは開けた方が良いよ」「そうだね。カー…
何だかもう顔がよく思い出せないんだ。君の姿はここにあるのだけれど、顔だけがぼやけている。むしろ、抜け落ちて無いんだ。君の指とか髪の毛のかたさとか体温とか、そんな事ばかりは憶えている。もしかしたら、もっと色々な事も憶えているかもしれない。そ…
*ゆっくりと真水に降ろすゆびさきの ねえ、今ほしのおとが聴こえた*海ほたる進化の果てに地下鉄の闇の内なる僕達だもの*滅びない為に滅びる滅びても蒼いまままた欠けてゆく月*囲まれて匂いたちくる夏の実の火を点さずに眠るバイクよ*なめらかな寝息のひとの…
長澤詩夏の場合これといって準備は必要無いと思われた。朝起きて身仕度を整える、そうして寝室の窓を開ける。只、それだけで良いような気がした。せっかくだから少しお洒落をしてみようかと思ったりもしたが、それもなんだか変だなと思い普段着のままで待つ…
*ラブ! ダーリン 動詞が好きよ、なによりも。だってうごうごするんですもの -玲はる名-良い呪文である。梳田もうごうごするのである。これを読んでいる諸君も多分うごうごしていることであろう。【バイストンウェルと梳田とイン・アウト 前編】それは諜報部…
*遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色が無くてよかった -柳澤真実- いきなり呪文を喰らわしてしまってスマン。梳田は、この呪文が大好きなのである。出会いはワタシがまだ梳田碧になる前の事、単なるワタシであった頃の話。迂濶にも大失恋をこいてしま…