夏の風
夏。
昼間は外に出るのが厳しいので、夜地道な生活を送る。
つまり仕事。
来る日も来る日も仕事に励む。
仕事はビルの中の話だし、涼しい。
夏は来ない。
バイトが終わってビルを出たときが一番問題。
頭の中はそこそこ冴えたまま、身体は夏に戻される。
駅に続くデッキの上はまたとないひどさになっている。
暑い。
にじりよってくる暑さのせいですぐにも汗が全身ににじんでゆく。
デッキの上では風がのそりのそりと身にまとうような遅さで人々を包んでゆく。
つつまれてゆく。
風を纏ったわたしはあと十年独身であることに気付いた。
十年。
この年月をわたしはなまぬるい風に纏われたまま生きてゆく。
東京は優しい街だ。
終電が出ても街として存在し続け、今日も朝陽が出る頃に眠る。
これだけだ。
今のあたしにあるのは感情とかではなくて、目に見える情景のほうがあまりに大きい。
夏はわたしを奪っていく。
すべて剥いでいった最後に残った情景をあたしは詠いたくなる。
短歌日記(歌クテル活動再開によせて)
嫁にいくことにした。
まるでひとごとのようだが、どうやらひとごとではないらしい。
転勤族の旦那に連れられて、岩手県へ。奥州藤原の里やら奥の細道やら遠野やら啄木の聖地やらイーハトーブやらあり、文学的にもなかなかに深い土地である。
在任は3〜5年。転勤族の妻とは、旦那に連れられて西へ東へ、日本中いつどこに飛ばされるかわからない身分である。
平家物語でも読むかなぁ。
梅雨明けの空が高い。
川の近くに住居を定めた。
旦那は詩歌などまったく解さない朴念仁で、なんというか、いわゆる「まっとうな人」だ。
自分がまっとうな人でないので、相方はまっとうな人くらいがちょうどいい。
川沿いの道を、自転車にのって買い物へ行く。
そうやって日々はすぎていく。
耳と耳たぐませている 夏風邪の男に運ぶ餃子のスープ
短歌同人「歌クテル」の活動と、当ブログ「週刊 歌ってる?」は、1ヶ月間活動をおやすみさせてもらった。
活動休止の原因は、私の転居の件とは関係なく、もう少し散文的なことであった。
「人間関係のトラブル」と、端的にいってしまえばそうゆうことであるが、
醜い話だ。
モチベーションが保てないまま、同人活動を続けていくべきであるのか。
大きな転機としてとらえれば、この1ヶ月は自分たちの活動を見つめ直す、よい機会であったとは思う。
人間関係が原因で、関係者のどちらか、あるいは双方がコミュニティから追われてしまう事例を、私はいくつも見てきた。
それは、表現者として、とてももったいないことだと思う。
表現者が、聖人君子であれなどとは言わない。だいたいの文学者はダメ人間だ。石川啄木だってダメ人間だった。
そうじゃなくて、そうじゃなくて、
選択したのは自分だってことを、自覚してほしいだけ。
もう怖いものなどないわと嘯いてあなたが嗅がせてくれた三毛猫
私は歌クテルが好きだ。
背中を押してくれた人もいた。
まだまだ、やりたいことがあるって気づいたんだ。
週刊『歌ってる?』休止のお知らせ
事情により、当ブログ週刊『歌ってる?』は休止させていただきます。再開の予定は未定です。
当ブログを楽しみにしていてくださった方々、ならびに記事を書いてくださった方々には大変ご迷惑をおかけいたします。まことに申し訳ございません。
週刊『歌ってる?』編集担当:小春川英夫
プライドで飯は食えるか?
先週は原稿を落としてしまい申し訳ない、毎度お馴染み二浦です。
転職した途端に怒濤の忙しさです。
…や、自分が要領悪いせいなんだけどもさ。
新しい職場は凄い小さな有限会社。
従業員は自分含め4人。
うん、会社って感じがしない(笑)
物凄い厳しいし、覚える事は途方に暮れる程多いけれども、会社が小さい分色々なモノが見れてとても楽しい。
今まで人任せにしてた事も自分でやらなければいけないから、大変なんだけれども、凄く世界が広がった感じがする。
そんなこんなで二週間。
ヒーヒー言いながら仕事してたら社長にこんな事を言われた。
「二浦さんは、仕事を教わるのが上手い。」
…うーん、自分じゃ良くわからない。
『わからない事』や『疑問に思った事』をすぐにぶつけてくるから仕事を教えやすいんだって社長は笑ったけど、それって当たり前の事じゃないんだろうか。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うし。
そんな事を相方くんに話したら、それは正論だけど実際に実行するのはプライドが邪魔して以外と難しいって言われた。
ふーん、そーなのかー、勿体無いなー、って自分は思う。
だって、仕事を覚えるのにプライドもへったくれも無いもの。
プライドだけじゃお金は稼げないしね。
だから、怒られるのも平気。
怒られた方が仕事覚えるし。
失敗は凹むけれど、そこから学ぶ事も有る。プラスにするのは自分次第。
頑張ろう、頑張りたいって心の底から思う。
まだ二週間しか経ってないけど。
…いつか社長の右腕になれたらいいなぁ。
(っていうか…勝手に社長に親近感。職人気質なとことか書類の散らかし具合とか自分とかぶるんだよな…。)
・最初から諦められる夢なんて意味がないから走り続ける
そして。ひとまず二浦の連載はここで一旦終了です。
しばらくは仕事に専念したいので。
みなさま、ご愛読ありがとうございましたm(__)m
石川くんに求愛瞳孔反射
文庫本が好きです。
そんなにヘビーに読書するわけでもなく、愛書家でもなく、電車ではヘッドフォンをして本を読む男なので。
ちょっと前になりますが、穂村さんと枡野さんの文庫本が立て続けに出たので、立て続けに衝動買い。
- 作者: 穂村弘
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 枡野浩一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/04/20
- メディア: 文庫
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『求愛瞳孔反射』は人生で初めて買った詩集。
短歌友達には詩から入った人も多いし、短歌の本や雑誌を読んでも詩との比較は多くって、「短歌って詩なんだな」と思うんですけど、本屋で「詩歌」とくくられたコーナーの前に立つのは、散々短歌本を買ってきた今でもちょっと恥ずかしいくらい「詩的」ではない私。
そんな私も、この本で詩にはまった!
…わけではない。他にも読んでみようかな、という気にはなったけど。
詩を書くようになった!
…わけでもない。先々はわからないけど。
詩集を読むよりも歌集などの短歌本を読むのに精一杯、というのが正直なところです。でも、『求愛瞳孔反射』の中の「あした世界が終わる日に」「氷川丸」「シラタキ」とかはとても好き。こういう表現にはいつかチャレンジしてみたいなー、と漠然と思います。
私が初めて買った歌集は岩波文庫の『啄木歌集』で、およそ2年前のこと。
だって、近所の本屋さんには現代短歌の歌集が全然なかったんですもの…。
- 作者: 石川啄木,久保田正文編
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1993/05/17
- メディア: 文庫
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枡野さんの現代語訳や朝倉世界一さんの落書きがとってもステキで、なにやらとてもなごむ一冊。
どうでもいいけど、『求愛瞳孔反射』や『石川くん』に感情移入して読んでる自分もけっこうだめんずだよなぁ…。反省は…それなりにしてます。結果にはつながりませんけど…。
そんなわけで、塩野七生さんの『ローマ人の物語』の文庫版も早いところ完結してほしい今日この頃ですが、とりあえず今は『一人で始める短歌入門』かな。
ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 枡野浩一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06/01
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6/9号と新連載者のおしらせ
二浦ちほさんの原稿が間に合わない!ということで、小春川英夫の記事で差し替えさせていただきます。
二浦さん、無理しないでね〜。
あと、5/19号(id:betsuuta:20070519#p1)で読み切りを書いていただいた市川ナツさんにも連載してもらうことになりました!7月から掲載予定です。お楽しみに。