*ラブ! ダーリン 動詞が好きよ、なによりも。だってうごうごするんですもの -玲はる名-


良い呪文である。梳田もうごうごするのである。これを読んでいる諸君も多分うごうごしていることであろう。



バイストンウェルと梳田とイン・アウト 前編】


それは諜報部局から提出された一編の論文によって静かに幕を開けた。Dr.ホムの提唱する『イン・アウト論』である。この論文は司令部内では今のところ極秘扱いである。存在を知る者は数少ない。
その内容はと言えば、早い話が都市伝説である。我々の住む電脳短歌世界とは別の短歌世界が存在するらしい。
バカバカしい。確かに最近一部市民の間にはそれらしい噂話が流れている事は承知している。が、噂はあくまでも噂でしかない。
…所詮、噂は噂だ…


数日後。05:30 小隊はいつもより1時間早く任務についた。なんでも司令部の中で行方不明者が出たらしく、我々に捜索命令が出された為だ。
「隊長、アレ読みました?」
「アレとは?」
「Dr.ホムの論文」
「アレね、読んだが何か」
何でこいつらがあの論文の事を知っているのだ。あれはまだ機密扱いの筈だが。まあ、そんな事はどうでも良い。今は迷子の兵隊を探す事が優先だ。
「アレって例えばバイストンウェルみたいなものですかねぇ」
まだ言っている。男のおしゃべりは好みでは無い。
「いちいち話し掛けるな、気が散る」
確かにその通りなのだ。我々の機体は先週配備されたばかりで、あろう事か私の嫌いなアームレイカー付きの新鋭機なのだ。長年スティックを握り慣れている私はアームレイカーにはまだ違和感がある。要するに相性が悪いのだ。
…それにしてもバイストンウェルとは何だ…


「レーダーに感!パターン、オレンジ。味方でも敵でも在りません」
オペレーターの声で機内には微かな緊張が走った。
「索敵手、オレンジとは何か」
「わかりません、わからないからオレンジなのであります」
「隊長、もしかしてオーラバトラーだったりして(笑)」
「お前は少し黙ってろ!」
オーラバトラーって何だぁ?…
「索敵手、映像出せるか?」
「了解、光学映像出ます」
「ヨッシャ!いよいよオーラバトラーとご対面だぜ」
「お前、喋るなって言っただろう!」
…クソッ!だからオーラバトラーってなんなんだよぉ…
小隊の全員がそれぞれの想いを秘めてモニターに注目している。直後モニターに映像が映し出された。
「かなり遠いな。索敵手、拡大出来るか?」
「隊長、オーラバトラーは元々小さいんですよぉ」
「喋るなって言っただろう!」
「拡大処理出来ました。拡大映像出ます」
なっ、なんだ。あ、あれは…


―それぞれの想いを胸に秘め次回へ続く―




★ケロ〜、今回は焦ったゎ。まさかこんなに早く順番回って来るとは。それによくみると前回、予告まで出しちゃってるしぃ。まっ、予告と若干内容が異なるけど気にしないでね。人間いつまでも同じテンションじゃいられないって事ですなゲロゲロリ。次回はこの続きなんで梳田も安心である。そんじゃ次回も読んでね〜っ ゲロゲェ〜ロォッ!


★おまけ付き★


*生命のやうに歌へば視界から途切れぬ風の触れてくる海 -玲はる名-


*1

*1:編集者(小春川英夫)注:イン・アウト論について詳しく書かれているブログのURLを載せさせていただきます。もっと詳しく知りたい方はググってみてください。http://cocoatalk.blog94.fc2.com/blog-entry-30.html

それを恋と呼んでもいいのかい?

恋をしています。
それはそれは切ない片思いなのです。
彼女の名前は原阿佐緒。今生きていたら119歳…。


若ければ女はかなし自らの知らぬに君を誘ひしてふ/原阿佐緒


いや、若くなくたって魅力的ですよ。
…119歳だとさすがに微妙かもしれませんが…。


彼女に出会ったのは『女歌の百年』という新書でした。

女歌の百年 (岩波新書)

女歌の百年 (岩波新書)


p.218からまるっと略歴を。*1


原阿佐緒(1888〜1969)
宮城県生まれ。肋膜炎のため高等女学校を中退。その後、17歳で上京、日本女子美術学校に入学。1909年「女子文壇」で与謝野晶子に認められ東京新詩社に入社。その後「アララギ」に入る。同門の歌人で物理学者・石原純との恋愛問題で「アララギ」を追われた後は歌作から離れる。歌集に『涙痕』『白木槿』など。


恋愛問題で破門ですよ…。映画版でハモンさんの苗字が変わってたり、妙な男爵が妙な波紋を出すくらい衝撃的。


でもね、写真見ると、とてもキレイなんですよ…。しかも、写真ごとに別人かと思うくらい別人。
こういうときは鼻で見分けるんだよ、とは誰に聞いたんだっけ?…うん、鼻は多分同一人物。かぎりなく多分だけど…。
オードリー・ヘップバーンに惚れた時もこんな印象だったな…。美女の条件かもしれない。当時の写真の質というのもあるけれど。


写真を転載するのはなんなので、原阿佐緒記念館のurlを。いろんな写真が見られます。パソコン推奨ですが、ケータイからでもどうにかなる…かな…。あとはケータイグーグルから「原阿佐緒」で画像検索してみてください。あとは…本を手にとるなりしてください。
http://www.haraasao.jp/


母親としての歌もたくさんあるのですが、この歌が好き。


枕並め寝し友も児もな覚めよこのさ夜ふけをしみ降る雨に/原阿佐緒*2


うんうん。
…なにが、うんうん、なのかはよくわかりませんが、文語は苦手なので解説はなしで。…あんまり母親の歌じゃないな…。
もっとちゃんと母親な歌あるんですけどもね。


百年の片思いもいいな、なんて思ったり思わなかったりする小春川英夫(いまだ独身、32歳)でございますが、今宵はここまでにしとうございます。


吾がために死なむと云ひし男らのみなながらへぬおもしろきかな/原阿佐緒


君のために死ねた心は新宿の夜の手前で生き延びている/小春川英夫

*1:数字は半角英数字に変えてあります。

*2:この歌は『近代短歌の鑑賞77』から引用しました。

近代短歌の鑑賞77

近代短歌の鑑賞77

短歌同人誌『歌クテル』3号発売!

目に見えないものを
ゆらぎ、たゆたい、消えてゆくものを
感情や言葉のやさしさを


太陽のような活動的なひかりを
月のような内省的なひかりを


57577の器にとじこめ、
あなたに、
届けるために

短歌同人誌『歌クテル』の3号が完成しました



パーティーの準備♪

2007年5月25日、短歌同人誌『歌クテル』3号が発売になります!
この「歌ってる?」の母体である「歌クテル」では、1年に1冊のペースで同人誌を発行しています。もともとモバイル短歌の出詠やケータイサイト運営から活動が始まって、現在、会員20人超。他にもたくさんの人にご協力をいただいて今日までやってきました。ひとつ、ひとつ、形になるのを見ると、もぅ感涙です(T_T)。


インターネットの用語では、ネット上での活動を「オンライン」、ネットの外の活動を「オフライン」といいます。普段はオンで活動している私たち。でも、なるべくオフでの繋がりも大事にしようと思っているんです。
同人誌制作、イベント参加もオフ活動ですが、飲み会みたいな集まり(オフ会)だって大事な活動。特に、同人誌完成披露パーティーは、やっぱりお祭りだもんね!準備にも気合いが入ります。と、いうことで、今回は披露パーティー準備の裏話をば…。


普段ネットで活動をしていると、各人の所在地、職業、生活時間がバラバラでもコミュニケーションに支障はないのですが、みんなが集まるとなると、交通の便がいいところを探さなくてはいけませんよね。
去年は横浜のホテルでやりました*1。広い部屋を借りて、デパ地下で食料とお酒を買い込んで。シャンパンありケーキありのお洒落な会になりました*2
1次会、2次会、終電逃したときのステイ先の確保を考えると、ホテルは楽です。短歌の会で居酒屋とかカラオケとかに行っちゃうと、騒がしくてゆっくり話せないんだ。だから、今年もどこかのホテルか、レンタルスペース(ウィークリーマンション等)を借りようかな〜とは思っていました。
そこでターミナル駅の周辺を調べ、行き着いた先がこちら↓


6月2日(土)、場所は羽田空港の隣接ホテル


です。
どうして羽田空港かというと…、


幹事がひこうき好きだからです!


いいんだもん。場所の決定権は幹事の特典だもん。


関東の主要駅から、空港直通バスがでています。モノレールや京急が乗り入れてます。もちろん、飛行機を乗りつけてのご参加も歓迎いたします。
パーティーでは空弁をご用意します(http://airport-restaurant.co.jp/delivery/menulist.html)。ロケーションはもちろん最高。わぉ、とっても合理的ではないですか!
と、いうわけで、みなさまぜひ遊びに来て下さいね〜。お待ちしています♪

オートマチック限定免許書き替えて僕らはいつか月へ行くため(A.I)

*1:本当は宿泊者以外を部屋に入れてはいけないらしいのだけど、こっそり10人くらい集まったかなぁ

*2:後半はみんな酔っぱらいだったけどね☆

春の虫

恋人でない人とあるようなないような待ち合わせをして、行く当てもなく夜の公園巡りをした。
電車の多い、ちいさな街だ。
どこへ行っても電車の音が消えない。
ふたつめの公園はモノレールの音が規則的にするところだった。
そしてまた同時に
季節はずれの虫かあるいは壊れかけの電気が音を鳴らしていた。
じじ、じ、じじじ、


「一緒にいれるとこ」
彼がいうあたしの好きなところだという。
じじ、じじじ、じじ、
確かにいま、誰よりも長い時間を過ごしている。
彼の言うことはひどく正しいように思えた。
あたしはと言うと、思わず好きなところなんて答えられなかった。
もっとどうでもいい、あなたの仕種がすきだ
じ、じ、じじじ
とか言ったら今度から妙に意識されそうでそんなのもうその仕種にときめくことができなくなる。
  オレンジに濡れる指先迷ひつつ選ぶ行方を助手席で見ゆ(市川ナツ)


じじ、じじじじ、じ、
焦っているわけではないと思う。
おそらく彼にしてもあたしにしても、あまりにいつかがありすぎる。
そうしてこんなにも”当たり前”を積み重ねていったとして、仮にいつかの日が来てしまうとして、どこへ行けばいいのだろう。


その公園の近く、交差点でキスをして別れた。
ちょっと情熱的なキスだった。
あたしはひとりモノレールの線路の下を通って家路についた。
彼もまたひとりモノレールの線路の下を通って家まで歩くのだろう。
モノレールの走る音は有り得ないくらいスムーズで、電車とは違う乗り物なんだってことにいい加減気付いた。


その晩、あたしの部屋ではあの音が聴こえ
じじ、じじじ、じ、じじ
直後、虫がどこか遠くへ飛んで行くのが見えた。
ああこれはもう恋にはなれないね
あたしじゃない何かが呟いた。
もうこんなに迷い込んでいたら仕方ないよね
また別のあたしじゃない何かが答えた。
  あいみたい 突然の空に覆われて隠しきれない踝に雨(市川ナツ)


眠り猫

時々、友人の住むアパートに遊びにいく。長い付き合いで気楽にお酒を飲みとりとめもない話などすれば、いつしか酔いも回り眠くなって、そのまま泊まることもよくある。


友人はパピルスという名の猫を飼っている。白地に黒の斑点がかかった牝で、若い頃はすらりとしたスタイルでなかなかの美形で、気が強く喧嘩が弱くなつかない。十年前に公園に花見にいったときに拾ってきたそうだ。
僕は遊びにいくたびに手懐けようとするのだが、邪心が見抜かれているのか、抱きかかえようとすると噛まれたり引っかかれたりした。そうなるとこちらもむきになりますます追いかける。あちらさんは凶暴化する。そんな状態が数年続くとさすがお互い疲れてきて、妥協というか停戦が成立した。和平案は以下の通りだった。


パピルスは中山に対して自身の頭部、喉、首筋に触る権利が与えられる。ただし目的はパピルスの皮膚を掻くためであり、撫でてはいけない。特に尻尾の付け根は厳禁。
パピルスを掻く場合、中山はパピルスより目線の位置が高くてはいけない。本棚、レコードプレーヤーの上など、中山が床に座ってギリギリ手が届く場所にパピルスがいて、さらに気が向かなけば触ってはならない。上から目線で触れるのは厳禁。
・だいたい十秒くらいならパピルスを抱きかかえて良い。ただし一日一回に限る。
肉球に関してはパピルスがよほど気がむかなけば触れてはならない。そしてその判断基準はパピルスが自由に決める。


と、まあこんな感じだった。そのころのパピルスはやや肉が体につき始めたけど、動きはまだ俊敏で、貫禄のある女優みたいで、岩下志麻を猫にしたらこんな感じかなあとふと思ったりした。


そのころからである。パピルスがたまに話しかけて来るようになったのは。友人は時々仕事でアパートを長期間空けることがあったので、そんなときは僕が餌や水の補給など世話をしている。友人の家は僕の仕事場から近いので朝が早い日などはそのまま泊まる。


ある明け方になんか声がした。小声で話しかけられている気がて、ふと目覚めると枕元にパピルスが行儀よく座っていて僕はじっと観ている。餌が欲しいときはひとまずは柱を掻くなど腹が減ったアピールをするのだが、今回は静かに僕が目覚めるのを待っていた。そして僕が目覚めるのを確認すると立ち去っていく。
そんなことが何回か続き、次第に話しかける声が鮮明になってきた。どうやらパピルスが独り言を眠っている僕に言っているようだった。内容は僕に関することで小言や愚痴、仕事や生き方の心配などばかりだった。僕は嬉しいような気がしたけど、なにしろ明け方の一番眠い時刻である、それに指摘が厳しく的を獲ているのが嫌になって、はいはい聞いておきますよ、と適当に相槌を打つとすぐ眠りに戻るようになった。一度だけなぜか般若心経を唱えていたけど、さすがにあれは怖かった。
翌朝になり、いつも通りに澄ました顔のパピルスを眺めて、世間で言っているのとは逆で我が儘や気ままも極めれば人の心が読めるのだろうかと思ったりした。


不思議なことにパピルスが話しかけてしばらくすると僕はパピルスにあまり構わなくなってきた。今まであんなにこだわっていた抱き上げもめったにしなくなった。やっと僕はパピルスと同じ空間にいながら互いに違う世界があることに気がついた。薄暗い空間で手探りをし合うような優しさが必要だった。パピルスの世界に近づくためには抱きかかえてはだめだったのだ。所有しようなんて思ってはいけなかった。


今ではパピルスはだいぶ年を取り、以前ほど高い場所に上がることはなくなった。よく眠るようになり、心なしか性格が丸くなった気がする。たまに話しかけられることはあるけど、枕元でただ座っていることのほうが多い。その姿はまるで僕の話を真剣に聞いてくれているように見える。


灯を消して真のねむりにつくまでは右へ左へ花冷えの路地 坂本郁代

名前の変更とブログロゴとキャラクターのお知らせ

今回から、長岡秋生さんは、中山洋祐さんになります。カテゴリーは中山洋祐、プロフィールは中山洋祐(長岡秋生)となります。古い記事も中山洋祐になってますが、同じ方です。
また、ブログのロゴを作ってみました。プロフィール画像にもあるキャラクターの<うたちゃん>は二浦ちほさんの作です。ロゴはパソコンからのみの表示になってしまいますが、プロフィール画像はケータイからでも見ることができます。
そんな感じでゆるゆる進化(?)している『歌ってる?』でございます。